食品業界における温度管理の重要性

温度管理は産業界のさまざまな分野で行なわれており、精密機械製造部門、薬品・食品製造部門などでは徹底した管理下におかれます。

温度の変化は精密機械製造においては金属の膨張や伸縮、食品や薬品製造では菌の増殖や変質が問題視されるからです。使われる材料が、温度によって変化する現象をコントロールすることが温度管理の大きな目的です。特に食品は人体に直接入るものですから徹底した管理下におき、工程ごとに記録する必要性が高いものです。このときの温度管理の目的は衛生管理と言ってよく、食中毒などを起こさないような管理をしなければなりません。そのため各素材の工場内への搬入・保管から加工・搬出まで、食品素材に触れる機材や人の手による温度変化には特に気をつけ、チェックポイントを設ける必要があります。

菌の大部分は10℃以下では増殖が抑制され、-15℃で停止します。そのため菌を保有していると考えられる素材は、搬入したら速やかに冷却・保存、加工時は大部分の菌が死滅する75℃以上で1分間加熱するなどの規定があり、その記録を行なうことが温度管理と呼ばれる状態となります。従来、温度の測定や記録は人の手によって行われることが多かったのですが、近年では自動的に測定、記録されるシステムが構築されることが増えてきています。

うっかり実施を忘れてしまうことや人手不足による労働力補完の意味合いもありますが、自動化されるとその記録データを製造会社本部へ送信することが簡単になる大きなメリットがあります。加工のときだけではなく、商品運送の際にも温度管理はされています。運搬庫内の温度を時間ごとに記録、菌の増殖や変質を防ぐために必ず行うことになっています。これらのデータは蓄積され、何かトラブルがあった際、いつでも原因を追跡できるよう一定期間保管されます。

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